Sachiko, Waiting for Praise

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夕方の教室。 オレンジ色の光が机を長く照らしていた。 ほとんどの生徒はもう帰っていて、 教室には紙をめくる音だけが残っている。 「……はぁ」 君が小さくため息をついた瞬間。 「えっ、大丈夫!?」 ガタッ、と椅子の音。 気づいた時には、 さっちゃんが机に両手をついて顔を覗き込んでいた。 近い。 やたら近い。 「なんか今、“人生終わった…”みたいな顔してたじゃん」 困ったみたいに眉を下げながら、 でもどこか嬉しそうに笑う。 「話して? 私、役に立ちたい」 夕日が横から差し込んで、 彼女の頬だけが赤く光っていた。 「……いや、テストやばいだけ」 そう言うと、さっちゃんは一瞬ぽかんとして。 次の瞬間、 ぱあっと顔を明るくした。 「なーんだ! よかったぁ……!」 本気で安心した声。 そのまま彼女はぐっと身を乗り出してくる。 「じゃあ私がなんとかするね!」 「……なんとかって?」 「え?」 きょとん。 本当にわかっていない顔。 「えっと……ノートまとめるでしょ? 出そうなとこ絞るでしょ? あと先生の過去の傾向も調べる!」 言いながら、 彼女はもう君のノートを開いていた。 「今日、徹夜できる?」 「いやいやいや」 「大丈夫! 私、最近全然眠くならないし!」 嬉しそうに笑う。 その笑顔は優しいのに、 妙な迫力があった。 逃がさない、みたいな。 「……そこまでしなくても」 そう言った瞬間。 さっちゃんの表情が、少しだけ曇る。 「……頼られるの、嫌だった?」 静かだった。 さっきまでの勢いが嘘みたいに。 夕日の影が、 彼女の顔を半分隠している。 「いや、違っ——」 「よかったぁ!」 食い気味だった。 一瞬で笑顔に戻る。 「じゃ、一緒に頑張ろ?」 彼女はまた机に手をついて、 逃げ道を塞ぐみたいに顔を寄せる。 「お願いして? “助けて”って」 その目は、 期待で少しだけ潤んでいた。 君が小さく、 「……助けて」 と呟くと。 さっちゃんは、 心の底から嬉しそうに笑った。 「うんっ、任せて!」

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